ロリコンが歩くSkyrimシリーズに思うこと~ハルバートの一貫性のなさ~

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 唐突だが、今回はニコニコ動画の「ロリコンが歩くSkyrim」というシリーズを題材にする。
www.nicovideo.jp

 2013年04月から始まった本シリーズは、現時点(2018年08月時点)で34話まで公開されている。
 今回は、下記の34歩目の④、24:30付近にて、投稿者であるトルネコ氏が返したコメントに関して考察していく。
【Skyrim】ロリコンが歩くスカイリム 第三十四歩目④【ゆっくり実況】 - ニコニコ動画

コメント返しの詳細

 24:30~25:00のあたりを引用する。

[画面]Q.こいつ改心はちょっと生ぬるいかなあ
ハルバートがノワールを見逃したシーンでのコメント。
[画面]A.これは別に改心したわけじゃなく、機械かと思ったらどうも感情のある人間ぽかったので見逃しただけ
A.これは別に改心したわけじゃなく、機械かと思ったらどうも感情のある人間ぽかったので見逃しただけ、です。
[画面]A.そもそもハルバートは悪人じゃない
そもそもハルバートは悪人じゃありません。彼はただ軍人としての仕事をしただけです。
軍からの命令を受けて降伏に応じない、今後さらに多くの犠牲を出すかもしれない相手を先につぶそうとしただけであって、彼自身に悪意はありません。
残忍で殺しを楽しんでいた弟のサウザークと違って、彼は残酷ではあるが残忍ではない性格です。

 結論から言うと、残念ながら、トルネコ氏が意図したようには、ハルバートという人物を描けていないのではないか、と考える。
 正直に言うと、ハルバートは悪人にしか見えないのだ。

31歩目(後編)のやり取り

 先ず、31歩目の後編(http://www.nicovideo.jp/watch/sm32252197)から、イルタ、ノワール、ハルバートの関係性について考察していく。

 動画の一部の出来事を、以下、時系列順に記す。

  1. ノワールが殺害対象の敵を見逃し、ホワイトランに逃げるように伝える
  2. イルタはそれを発見し、ノワールにその理由を問う。
  3. ノワールは、ホワイトランの衛兵であるカインズと約束したからだ、と答えてすぐに、いや、本当はもう人を殺したくないからだ、と告げる。
  4. イルタは、ノワールに対して感情があったことに驚き、ノワールを一切糾弾しない。
  5. ノワールがカインズによって、「ノワール」と名付けられたことを知ると、すぐに呼び方をノワールに改める。
  6. 会話が進み、イルタは、サルモールという組織に対する自分の迷い、ためらいを告白する。
  7. イルタの独白の直後、ハルバートが登場。
  8. ハルバートは、ノワールが逃がそうとした二人の人間を殺したことを告げる。
  9. イルタは咄嗟に、それが自分のせいであるとウソをつき、ノワールではなく「8号」という呼び名に戻す。
  10. ハルバートは、ノワールの首にかけてあるマフラーに目を留め、感情を持たない機械にそんなものは要らない、と言ってマフラーを破り捨てる。

 三者の関係性は、”イルタ+ノワール” VS ”ハルバート” となっている。
 問題になっているのは、その対立軸だ。もしも、ハルバートがイルタと同じような考えを持っており、ノワールに対して認識を改め得るほど器が大きい人物であるのなら、トルネコ氏の主張には何も問題がないことになるのだが・・・。

対立軸1:残酷さ

 先ず、イルタの独白を引用して、イルタの立ち位置を見ていこう。

サルモールは、ときに残酷とも思えるすべを採ろうとも、力なき者や、子供を傷つけたりはしない。
高潔なエルフの魂を持ち、その力を全ての下等種族のために使い、世界を平和へと導く正義の組織。
私はずっとそう思っていた。少なくとも、私の父はそれを信条に戦っていたわ。
でも、最近それがわからなくなってきたわ。サルモールとは何なのかが・・・

 これはイルタの独白の抜粋である。イルタは、エルフは上位の種族だという考えに基づき、下等なる他種族を導くことで世界平和を実現しようと考えていた。
 ハルバートは、ノワールが逃がした二人を躊躇なく殺しており、お互いが目指すものが食い違っていることが明白となっている。
 下等種族と見做している相手だから躊躇なく殺せる、そんな人間を「悪人ではない」とは思いにくい。
 もしもハルバートが悪人ではないとするなら、抵抗する人間だから仕方なく殺した、などの工夫が必要だろう。

対立軸2:ノワールへの対応

 イルタは、敵を見逃したノワールに対して、先ず質問を投げかける。ノワールを糾弾せず、残した二人を仕留めようともしない。
 ハルバートは、ノワールに対して、以下のように非難する。

ふん、プーマーの技術で作られたとかいうガラクタか。殺す以外に能はないと聞いたが、それすらも満足に出来ないようだな

 そして、ノワールのマフラーを破り捨てたときの一言が、ハルバートの立場を表している。

道具に要らん情など向けるな、こいつはただの殺すための機械だ。
感情などない。命乞いをする人間を表情1つ変えずに何人も殺してきたんだろう?

 ここでハルバートは、わざわざマフラーを破り捨てている。
 マフラーを与えたイルタ、それを破り捨てたハルバート、この二人が対極的な位置づけにあることは明白だ。

そもそもハルバートは味方を大切にしていない

 トルネコ氏の主張をやや言い換えると、ハルバートは悪人ではなく、ノワールが感情を持つような存在だということに気付いたなら、態度を改めることになる。
 しかし、そもそもハルバートがそれに気付いたところで、態度を改めるはずはないのだ。
 なぜなら、ハルバートは味方を容赦なく切り捨てるような言動をしているから。

 同じく31歩目の後編において、町ごと焼き払う作戦を提案したハルバートに対して、イルタは反対を表明する。
 しかしハルバートの返答は。

俺は弟ほどやさしくはないぞ、従わなければお前もお前の部下ともども殺す

 自分よりも弟の方が優しい、といってしまっている。弟は殺しを楽しむ残忍な性格だというのに。
 そして、このセリフを見るに、味方に対しても不寛容であることも明白だ。
 それなのに、なぜノワールに対して、認識だけではなく態度まで改めてしまうのか。

 残念ながら、ハルバートは残酷な性格であって、ノワールに対して認識を改めることが出来るかどうかも怪しい。ましてや態度まで改められるような人間には見えない。これが僕の結論である。

おわりに

 このロリコンが歩くSkyrimシリーズは、毎回30分ほどもある大長編シリーズであるのに、僕は欠かさずチェックしている。
 ニコニコ動画ではトルネコ氏をフォローしているし、マイリストにも幾つか登録しているし、コメントだって書き込む。
 このシリーズを僕が大好きだということが、今回の記事の大前提だ。そもそも興味がない動画に対して、こんなに真面目に批判をしない。
 僕は、作品の批判を殆どしたことがない。それだけ好きなシリーズ自体が少ないし、批判するのは大変面倒な工程であるのだ。

 今回のハルバートの一貫性のなさも気になったことだが、トルネコ氏の動画の台詞がやや冗長なのも、気になっているポイントだ。
 みんな大好き、カインズとハルバートの対決の回。カッコイイ戦闘シーン、且つ高速で戦っているキャラクターには、冗長なセリフは似合わない。
 そこもいずれ記事にするかもしれない。

 トルネコ氏の漫画、及び動画シリーズが、より多くの人に認知され、人気が出ることを願って。